宇部市ときわ公園の中の移築民家の再生である。移築時に敷地の制約があったと思われるが、縁側が北側に向けて建てられていた。当初はお茶会などに利用されたようであるが、日当りが悪く、やがて茅葺き屋根から雨漏りが始まり長く使われない状態で放置されていた。
建物の痛みが激しく、これ以上放置すると倒壊の危険があるということで、茅の葺き替えとあわせて建物を補強し、庭のぼたん苑と一体的によりいっそう魅力ある場所にすることを目指した。まず、曳家して日当たりの良い場所に移し、180度回転して南側に縁側を向けた。腐朽した部材を取り替え、耐震補強して安全性を確保した。母屋の空間構成はほとんど変更せず、かつての農家のくらしを体験できるようにした。縁側の前にはボタン苑を再構成して茅葺きの建物と庭とが連続してつながっている。
目立たない位置に付属屋を増築してトイレやキッチンなどの機能を加え、利用の幅を広げることに配慮している。
・所在地 | :山口県宇部市 |
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・用途 | :公園施設(茶室) |
・延べ床面積 | :111.03m2 |
・構造 | :木造平屋 |